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「柔侠伝」劇画家バロン吉元さん 仏国際漫画祭で“巨大劇画”描く



1960~70年代の劇画ブーム立役者の一人で「柔侠伝」シリーズなどを描いたバロン吉元さんが、
フランスで30日に開幕する欧州最大規模の漫画イベント
「アングレーム国際漫画祭」で巨大ライブペインティングに挑戦する。
 漫画界では、カンヌ映画祭に例えられる権威ある催しで、2月2日までの4日間に約20万人が訪れる。
バロンさんはメイン会場の一つで、日本などアジア圏の漫画がそろう
「マンガシティ」の1等地の壁面に設置されたキャンバスに描く。

「劇画の1コマのような、動きのある刺激的な絵を描く。
伝統があり、世界中から漫画家が集まる祭典。
意欲と情熱、挑戦の心をもって臨みたい。劇画家の意気を示してくる」
と燃えている。

 キャンバスの大きさは、縦約2メートル、横約3メートルの特大サイズ。
ドローイング(線画)でなく、アクリル絵の具でのペインティングで、
関係者によると「作家1人の公開制作では過去最大級」という。

 4日間の会期はほぼ終日、絵筆を握って描き続けるハードなパフォーマンス。
世界中から幅広い世代のアーティストが集まる中、戦前生まれの漫画家では異例の挑戦だ。
だが、バロンさんは2018年に、イラストレーターで漫画家の寺田克也さんとともに
京都市東山区・高台寺の境内でふすま絵の公開制作を行うなど、
ここ最近の新作は大作絵画が中心となっている。
とはいえ、「大腿筋と腹筋、腰の筋肉を鍛えて
体幹を保つトレーニングを毎日している」と体力づくりに余念はない。
脚立に登って描く準備もしている。

 海外でのライブペインティングは初めてだが
「元々漫画も筆で描いていたので、原稿用紙がキャンバスに変わっただけ。
即興性が試される機会だからこそ、迫力のある緊張感のこもった絵をイメージしている。
限られた時間の中で動きのある構図にどう仕上げていくか、挑戦をしたい。
お客さんとも触れ合いたいな。
フランス語は“ボンジュール”くらいしか知らないけどね」と
ギャラリーとの交流も楽しみにしている。

 バロン作品はここ数年、欧米での評価が高まっている。
2019年には画業60年を記念した「バロン吉元画集 男爵」(パイインターナショナル刊)が、
国内だけでなく米国や欧州など海外でもリリース。
60~70年代の読み切りをまとめた短編集が米国で出版された。
現在もフランスやイタリアで新たな出版の動きがあるという。

スポニチアネックス2020年1月3日配信

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