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高台寺初秋の特別展を終えて


高台寺初秋の特別展「バロン吉元 画俠展」は9月2日に始まり
10月15日、大盛況のうちに終了致しました。
私にとってはエポックメーキングとも言える個展でした。
なにしろ名刹における襖絵、書院における畳上の劇画、それらがお寺の侘び寂びに
見事に溶け合っているのです。これは我ながら感激でした。

そぼ降る秋雨の中、方丈(本堂)前の庭造り、臥龍廊脇の池にゆるりと動く緋鯉、
その先に色づき始めた紅葉、石畳をそぞろ歩く着物姿のカップル、至上の侘び寂の景観です。
その中に私の作品が混ざっていることの幸せ、障子を開け閉めする時の音にすら心を洗われる一瞬、
私も高台寺に通っているうちに、お寺で修業しているような気分になりました。

会期中に方丈で開催された島原の花魁のお茶会にも御招待されたり、
高台寺の執事長、後藤典生和尚の心の籠った温かい法話会にも参加して
禅の心にタッチすることもできました。

侘び寂は私の主義でもある:歌舞く:にも通じる感慨があって、
石段を登る一歩一歩が生きる筋肉となり、新たな創作の一歩が始まりました。

初日を迎えるまでは、劇画を襖絵に落とし込むという滅多にない試みでもあったので、
わくわくどきどきの期待感とは別に多少の心配もあったのですが、
次々と会場に入ってこられる老若男女、国籍を問わない多くの熱心なお客様に圧倒されているうちに、
襖絵も劇画原稿も意外と高台寺の佇まいと雰囲気に溶け込んでいるのではないかと思えて、
私自身高台寺の一部分になったかのような幸せ感を頂きました。

初の高台寺における展覧会、エキサイティングでグローバルでミステリアスで
学ぶ事も多い実り豊かな44日間でした。
この体験をもとに、さらなる精進をしてまいりたいと思います。

「画俠展」においで下さったお客様。高台寺の皆様、スタッフの皆様、
誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。

そして、今後ともよろしくお願い申し上げます。


バロン吉元