教養ある者の話し方は・・・。何かを成し遂げようと思うものは・・・。
すべてに優れていても色事を好まない男は・・・。
自然観、人生観、恋愛観から有識故実。中世の人々の心のありさま、理想をかいま見る。
平成九年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞!

 古典古典の古珍古珍の煮ても焼いても食えそうも無い
素材をいかに料理するか、そんな命題から「徒然草」のマ
ンガ化は出発しました。
 いくらマンガで表現できないものは何もない時代・・とは
いえ、こればかりはどうにも料理法が見つからなくて思案
にあまるばかり、毎日真っ白な画用紙とにらめっこが続き
ました。
このような状態の中で料理を始めるのは、鯉のウ
ロコも取らずにいきなり口につけるようなもので、味わうど
ころではありません。

(あとがきより抜粋)

 感動はある日突然やってきました。頭の中のモヤがいきなりスライドして視野が広がり大きな歓喜をもって筆は画面の上を滑り始めたのです。そのスタートをきらせてくれた号砲は私の友人でもある作家羽山信樹氏の小説「悪しき者」の中にあったのです。それは徒然草が書かれた時代に大流行した真言密教立川流とその信奉者後醍醐天皇の事でした・・・・                                           

(中略)

(後略)