柔能く剛を制し、弱能く強を制す。
柔は徳なり、剛は賊なり。弱は人の助くる所なり。」
これは中国の古い兵書『三略』にある言葉だそうです
が、私にとっては『柔侠伝』のテーマであり、二十年来の
座右の銘でもあります。一般的にも「柔能く剛を制す」と
いう故事成語で広く使われ、その語句どおり現実的にも
非常に有効で“柔”は社会の建て前を上手に演じるため
の智恵、“剛”は本音に忠実な頑迷不霊、前者を他力本
願とするならば後者は自力本願、または狡猾とバカ正直、
たかがとされど、風見鶏と避雷針、などと、このような解
釈のしかたはいささか乱暴かもしれませんが、私は“柔”
と“剛”を連想ゲーム風にとらえて楽しんでおります。
柔道の創始者嘉納治五郎は「柔能く剛を制す」生き方
で“剛”の柔術を破り、柔道を世界のスポーツとして発展
させました。
私が柔道を習い始めたころ、今にして思えば見事に
「柔能く剛を制す」戦術に一本取られたことになるでしょ
うか、いかにも悔しい想いをしたことを懐かしく思い出し
ます。
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